産業廃棄物の保管場所での看板の設置
業廃棄物が発生した場合は、処理が終わるまで排出事業者が適正に保管する必要があります。ただし、事業主が発生させた産業廃棄物は、どこに保管してもいいものではありません。適切に管理できる保管場所を定め、必要事項を記載した看板を設置することが廃棄物処理法によって定められています。
保管場所だけではない!産業廃棄物の表示義務とは?
産業廃棄物の運搬や保管処理を行うときは、廃棄物に関する情報表示の義務が課せられます。この表示義務は「廃棄物処理法」によって定められており、表示をすることで公衆衛生の向上や安全性の確保をすることが目的です。
看板による表示義務があるのは、以下の5つの場合です。[注1]
- 車両を用いて産業廃棄物を運搬する場合(表示義務)
- 船舶を用いて産業廃棄物を運搬する場合(表示義務)
- 産業廃棄物(または特別管理産業廃棄物)の保管場所がある場合(表示義務)
- 最終処分場の場合(表示義務)
- 医療機関等から排出される産業廃棄物を収納する容器(表示推奨)
産業廃棄物を取り扱う際は、上記の表示義務を遵守するようにしてください。
[注1]公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター|産廃知識 産業廃棄物の運搬・保管等の表示
https://www.jwnet.or.jp/waste/knowledge/hyouji/index.html
産業廃棄物の保管場所における表示義務の基礎知識
産業廃棄物の運搬や医療機関から出る廃棄物に関する表示義務は、一般の企業にとってはあまり関係のないものかもしれません。
しかし、産業廃棄物の収集頻度が低く数日間保管場所に置いている企業の場合は、この表示義務を守る必要があります。産業廃棄物を保管場所に置いておく必要がある場合は、必要事項を記載した看板を設置することが義務付けられているためです。
ここからは一般企業にも関連性が高い、産業廃棄物の保管場所における表示義務について解説します。
1.産業廃棄物の保管場所に設置する看板に記載する内容
産業廃棄物の保管場所に設置する看板には、廃棄物の種類や管理者の情報などを明記しておく必要があります。正しい情報を掲示できるように、看板には以下の内容を記載しておきましょう。
- 産業廃棄物(または特別管理産業廃棄物)の保管施設である旨
- 産業廃棄物(または特別管理産業廃棄物)の種類
- 数量(積替えや処分のための保管である場合)
- 管理人の氏名又は名称および連絡先
- 最大保管高さ(屋外で容器を用いない保管の場合は必須)
連絡先は、個人事業主の場合は個人名、会社の場合は会社名と担当部署を記載すれば問題ありません。万が一荷崩れなどのトラブルが起きたときにすぐ連絡できるよう、日中連絡が取れる電話番号を記載しておきましょう。
2.産業廃棄物の保管場所に設置する看板の大きさ
産業廃棄物の保管場所に設置する看板のサイズは、縦横60cm以上と定められています。文字の大きさについての規定はありませんが、遠くから見ても識別できる大きさにしておくことが大切です。
前項の記載情報と看板の大きさの条件が満たされない場合、たとえ看板が設置されていたとしても、無効だと判断されてしまう危険性があります。自治体などから指導されることがないように、しっかりと条件に沿った看板の設置を行ってください。
3.看板の設置場所
産業廃棄物の保管場所に対する表示義務は、どこまでの範囲に適用されるのでしょうか。
たとえば、社内のゴミ箱やビルのゴミステーションには一定期間ゴミが溜められますが、すべてのゴミ箱に看板を設置する企業はないでしょう。
また、企業の業種や現場の状況によっては、各工程で発生する廃棄物の量が少量であったり短期間のみの保管であったりするケースがあります。この場合も、すべてのセクションに看板を設置することは現実的ではありません。
そもそも、廃棄物処理法で定められる表示義務の目的は、廃棄物による周辺環境の汚染防止やトラブル時にスムーズに連絡が取れるようにすることです。
そのことを考慮すると、複数箇所で少量の廃棄物が発生するときは、廃棄物を適切に管理するために以下の場所に看板を設置する必要性があると考えられます。
- 1ヵ月程度そのままで廃棄物を保管する場所
- 10㎥以上の保管量となる保管場所
- 各セクションの廃棄物が最終的に集積される場所
- ビル内にあるゴミ専用の集積所
上記の条件に当てはまらない場合でも、周辺環境の汚染や安全面でのリスクが考えられる場合は、看板の設置は必要です。保管状況や保管する廃棄物をしっかりと考慮のうえ、周囲に配慮した掲示をしていきましょう。
産業廃棄物の保管場所に看板を設置して安全に管理しましょう
産業廃棄物を一定期間保管する場合は、保管場所に看板を設置する「表示義務」が課されます。
保管場所に設置する看板にはサイズや記載事項の決まりがあるため、設置の際はよく確認しておきましょう。
環境と調和した社会づくりのためにも、事業を営む場合は、廃棄物の処理方法だけではなく保管に関するルールにもしっかりと気を配ることは重要です。
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