産業廃棄物処理業の市場規模

産業廃棄物処理業の市場規模は、過去の環境省の調査によれば、5.3兆円程度と推計されています。さらに、産業廃棄物処理だけでなく、廃棄物処理・リサイクル業全体として、一般廃棄物処理業や、再生資源卸売業、素材系産業における再生資源利用等までを含めると、12兆円*を超える規模という推計データもあります。この市場規模はコンビニエンスストア11兆円、スーパー13兆円と同規模であり、他の産業と比較しても遜色がありません。

産業廃棄物処理業の業界構造

圧倒的に中小零細企業が多く、最大手でも売上高約500億円

産業廃棄物処理業は、中間処理業や最終処分業では大規模な処分施設を複数保有する事業者から、収集運搬業のみに従事し、数人規模の零細事業者まで多岐にわたっています。

許可業者における産業廃棄物処理業に携わる従業員数

図表4

(出典)環境省「産業廃棄物処理業実態調査業務報告書」

業種区分

業種区分 含まれる業許可の組合せ
収集運搬のみ 収集運搬業
中間処理 中間処理業
収集運搬業・中間処理業
最終処分 最終処分業
収集運搬業・最終処分業
中間処理・最終処分 中間処理業・最終処分業
収集運搬業・中間処理業・最終処分業

(出典)環境省「産業廃棄物処理業実態調査業務報告書」

産業廃棄物処理業者の圧倒的大多数が中小零細企業で、全国一律のサービスを提供する事業者は現在のところ存在しないのが業界の現状とされます。

これは、我が国では産業廃棄物の許可は都道府県ごとに取得する必要があり、その許認可の申請手続き等にかなりの時間、労力を要するにより、他地域からの参入障壁が高いことなどの要因によっています。

しかし、一部の大手事業者は家電リサイクル法や建設リサイクル法等各種リサイクル制度への対応、再生可能エネルギー分野への参入をきっかけに事業規模を拡大しており、年間売上高が100億円を超える企業も徐々に増加しつつあります。

産業廃棄物処理業は、収集運搬業、処分業と業種が分かれるほか、処理品目ごとなどでマーケットが細分化されているため、独自の技術・ノウハウを有していれば、競合が少ないマーケットを独占できる可能性を秘めています。

特定の市場で、処理技術・ノウハウの向上や、サプライチェーンの上流・下流工程の進出等を通じて競争力強化を図る、専門化という方向もあります。

高度な中間処理技術や収集ノウハウなどを有する企業は、動脈企業と共同で技術開発を行ったり、事業会社を共同出資で設立したりということも行いやすいといえます。