産業廃棄物委託契約書とは?

 

産業廃棄物の流れ

 

産業廃棄物の排出事業者が、産廃の処理を都道府県・政令市から許可された処理業者に委託する場合は、受託する処理業者と書面により適正な契約を結ばなければなりません。

この書面が「産業廃棄物委託契約書」です。

これは、「排出事業者責任」の一環です。

産業廃棄物委託契約書とひとことで言っても、契約書のフォームは「収集運搬」「処分」「最終処分」と、産廃処理の段階ごとに多少異なりますので、実際の契約段階では注意が必要です。

 

排出事業者責任とは?

廃棄物処理法第12条第7項では、「事業者は、産業廃棄物の最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない」とされています。

仮に産廃の不適正な処理が行われ、処理を行ったのが委託業者だとしても、その不正の責任は排出事業者について回ることになります。

そうなれば排出事業者は社会的な信用を失墜させることはもちろん、罰金や実刑のリスクも避けられません。

そのため、「委託業者に丸投げ」ではなく、排出事業者自らも委託業者との契約内容について十分確認する必要があると言えます。

 

委託基準(原則)

産業廃棄物処理委託契約を適正に行うためには、以下の委託基準(原則)に沿って契約を行う必要があります。

 

委託基準

  •  処理を委託する相手は処理業の許可を持っている事業者であること。
  •  委託しようとする廃棄物の処理が、許可証の「事業の範囲」に含まれていること。
  •  委託契約は書面で行うこと。
  •  特別管理産業廃棄物の処理を委託する場合は、委託する者に対して予め特別管理産業廃棄物の種類、数量、性状、荷姿、取り扱い上の注意事項を書面で通知すること。
  •  契約書及び契約書に添付された書類を、契約終了日から5年間保存すること。
  •  収集運搬の委託は「収集運搬」の許可を持つ者と、「中間処理(再生を含む)または最終処分」の委託は処分業の許可を持つ者と、それぞれ2者間で契約すること。

少々専門的で難しい言葉もありますが、上記をしっかりと認識した上で、委託業者と適切な契約を行うことを心がけましょう。

契約書の記載事項

契約内容を明確にするため、委託契約は書面により行うことが義務付けられています。

産業廃棄物委託契約書には、主に以下の事項が記載されています。

①委託する産業廃棄物の種類および数量

②委託契約の有効期間

③委託者が受託者に支払う料金

④受託者の事業の範囲

⑤委託者の有する適正処理のために必要な事項に関する情報

⑥委託契約の有効期間中に前項の情報に変更があった場合の伝達方法に関する事項

⑦委託業務終了時の受託者への報告に関する事項

⑧契約解除の処理されない産業廃棄物の取り扱いに関する事項

 

上記の契約内容に誤りがないか、業者の許可証との相違はないかを確認します。

許可証の写し、マニフェストの添付も忘れずに確認しましょう。

産業廃棄物委託契約書の確認のポイント

 

産業廃棄物委託契約書を確認する際のポイントは次の3点です。

 

産業廃棄物委託契約書の確認ポイント

  •  許可証と契約書の内容が一致しているか?
  •  委託する廃棄物の種類は許可証に記載されているか?
  •  許可証は期限切れではないか?

 

許可証と契約書の内容が一致しているか?

 

委託先の住所などの情報はもちろん、廃棄物の処理方法についても、契約書と異なる記載となっていないかを確認します。

処理方法が複数ある委託先の場合、処理に適さない異なった処理方法が記載されているケースもあります。

 

委託する廃棄物の種類は許可証に記載されているか?

 

排出事業者が委託する廃棄物の種類について、許可証に記載があるかを確認します。

例えば、廃プラスチック類を委託するのであれば、「廃プラスチック類」の記載を確認するようにします。

 

許可証は期限切れではないか?

まれに、委託業者の許可証の期限更新がされておらず、期限切れとなっているケースがあります。この場合、知らずに委託してしまうと、無許可業者への委託となってしまいます。事前に契約を見合わせるようにしてください。